風邪には効かない!抗生物質の用途と使い方

抗生物質の正しい知識

抗生物質はただしくは、こう・せいぶつしつと読むのが正しい読み方です。
医学の知識が乏しいといった方でも、ペニシリンの名前は誰しもご存じなのではないでしょうか。
このペニシリンですが、青かびから精製された世界初の抗生物質の事です。
また、その後のストレプトマイシンの発見は、それまで不治の病とされていた、結核の治療に多大な貢献を果たすことになります。

ご存じのように結核は、日本でも古くから「労咳」の名前で知られ、多くの著名人が命を落してきました。
このように、医療の世界では、人類の薬学史上多大な革命的貢献を果たすことになります。
現在でも、多くの治療法に抗生物質が使用され、これまで困難であった病気の治癒に役立っています。

抗生物質の特徴

抗生物質の特徴は、薬学の世界で抗菌剤としての役割が、重要な効果としてもたらされています。
人体の細胞に対しては、ほとんど毒性を示さない一方で、細菌にのみ毒性を示し、細菌感染などに対して効果的に作用するのが特徴です。
それまで人類は、妊娠や怪我あるいは性交に際しても、常に細菌感染の脅威にさらされてきました。

人類の平均寿命が延びたのも、この抗生物質が開発されたおかげで、私たちの平均寿命は飛躍的に高くなることになります。
現在抗生物質の分類は、化学構造からの分類と作用による分類の2つがあります。
用途には医療用のほか、動物用や農業用もあり、抗細菌性 /抗カビ(真菌)性/抗腫瘍性などに分けることができます。

抗生物質は必ずしも万能ではない

抗生物質が、人類の医療技術を、向上させたことは間違いのないところですが、必ずしも抗生物質が万能というわけではありません。
抗生物質の特徴は、細菌に対して攻撃するもので、人体の細胞に対してはほとんど毒性を示しません。

しかし、人間の体の中には、腸内細菌を始めとする常駐菌の存在もあり、こうした病原性を示していない細菌にも作用することが問題視されます。
また弊害として、細菌性感染症以外には効かないこと。
さらに、使いすぎると、抗生物質が効きにくくなるまたは、生き残った菌が耐性化する耐性菌の出現も、薬学の世界では問題視されています。

抗生物質の正しい用途と使い方

よく誤解されていますが、抗生物質は抗菌作用をもたらすもので、特定のウイルスには全く作用しません。
具体的には、風邪には全く効果はありませんし、抗生物質によっては、効き目の薄い細菌も存在します。
抗生物質の正しい使い方としては、内服剤は1週間程度服用することが多いものです。

しかし、劇的に症状が改善した場合は長く飲む必要はなく、4日でやめる場合もあります。
こうした経緯も踏まえて、抗生物質の服用の判断には、必ずかかりつけの医師のもと、相談しながら行うことが大切です。
中途半端に辞めてしまうと、細菌の耐性化を招きかねませんので、自己判断で行わず、必ず医師の判断で薬学治療を行うようにしましょう。