薬学部は不人気?

薬学部人気が低下している

薬学部は、以前はほかの学部と同じく4年制でしたが、2006年から6年制となっています。
薬学部の人気が低下していると言われるのは、この6年制に変更されて以降のことでしょう。

国公立大学ならまだしも、私立大学の薬学部の学費は非常に高いです。
医学部ほどではないとしても、6年間の総額で1,000万円以上かかる私大薬学部は少なくありません。
これが人気低下の大きな一因です。

また、学費だけでなく、単純に薬学部の数が増えすぎたことも人気低迷の理由でしょう。
2002年以降、規制緩和で大学の設置認可がしやすくなったことから、薬学部を新設した大学が急増しました。
たとえば2002年度は全国の薬学部、および薬科大学は全部で47でしたが、今では77校に増えています。

それだけ増えると、定員割れを起こす薬学部も出てきます。
文科省によると、2020年度の私立大学の薬学部(薬科大学も含む)の4割ほどが定員割れだったそうです。
それを埋めるために入試教科を減らすなど、今後は大学の方でも対策してくるかもしれません。
しかし、入学するのが簡単になっても薬剤師国家試験に合格するのが簡単になるわけではないので、単純に学生の質が下がり、退学率がアップすることが懸念されます。

薬学部の退学率と国家試験の合格率

実際、薬学部の退学率は非常に高いです。
文科省では新薬剤師国家試験の導入以降、全国の薬学部の修学状況を調査しています。
2021年度の調査で公表されたデータによると、たとえば医療創生大学のように退学率が50%を超える大学もあるほどです。
千葉科学大学も退学率40%を超えています。
また、退学率が30%以上が全部で7つ、20%以上では全部で13にも上ります。

退学率が高いだけでも問題ですが、退学率が高い大学ほど国家試験に合格する学生が少ないことにも注意が必要です。
退学率が高い大学ほど偏差値が低く、いわゆる簡単に入れる薬学部になります。
しかし、薬学部に簡単に入れたとしても、薬剤師になるのが簡単になったわけではありません。
そのため、偏差値の低い薬学部のなかには勉強についていけずに途中で退学したり、6年間で国家試験合格に必要な学力を身につけられなかったりする学生が多いのです。

実際、薬学部の内容はかなりハードです。
数学、物理、化学などの理系科目は、高校時代からそれを得意としていた人でも骨が折れます。
偏差値40程度の学生では、入学後に相当努力しないとついていけないのは当然でしょう。
また、薬学部は実習も多いため、他学部に比べて自由時間が少ないです。

一方、国公立大学の薬学部の退学率は非常に低く、退学率0%の大学もいくつかあります。
そういう大学は逆に国家試験の合格率が非常に高く、たとえば東北大学や金沢大学など合格率95%を超える学部もあるほどです。